コンサルティング業界

エンロン事件と会計系コンサルティングファームの解体・復活

こんにちは。転職ノート編集部です。
私達は、全員で20回以上の転職経験があり、様々な業界で働いた経験を持つ年収1千万を超えるコンサルタントを中心とした執筆チームです。

今回は、エンロン事件と会計系ファーム及びアクセンチュアの関係性を整理してみます。

エンロン事件は、当時、超優良企業と言われたエンロン社の破綻と不正会計処理の発覚ですね。耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

この時期を境に、会計系ファームは組織の売却・解体をした後、復活をして今の規模まで成長しています。

どういう経緯で現在の姿があるのか、歴史的な背景を知っておくと、転職時の基礎知識として役に立つと思います

今回の記事の流れは、以下の時系列で御紹介します。

会計系コンサルティングファームのIT活況

戦後、ITの活用が各社で進み業務の効率化が図られます。

ー1947年
アーサー・アンダーセンが世界で初めてコンピュータシステムを企業会計に使ったと言われています。

会計事務所は自社の業務をITを活用して効率化を図っていました。
同時に、「コンサルティング部門」を持ち、注力していました。

会計事務所の顧客は、会計業務の効率化を会計のスペシャリストである会計事務所に相談することで、各会計事務所のコンサルティング部門は急成長を遂げていきます。

-1954年
GEの給与計算自動化プロジェクトをアーサー・アンダーセンが担います。

-1970年代
ITの技術革新が進むと共に、企業のグローバル化が進展します。
それに伴い、ITに関するコンサルティング需要が高まっていきます。

会計事務所のコンサルティング領域は、ITを活用した業務統合や効率化が中心的なテーマになり、そこから戦略や人事組織へと広がっていきました。

アーサーアンダーセンとアクセンチュア

-1989年
アーサー・アンダーセンのコンサルティング部門が「アンダーセン・コンサルティング」として分社化されました。

アーサー・アンダーセンが会計監査業務、アンダーセン・コンサルティング(後のアクセンチュア)がコンサルティング業務を担うようになります。

このアンダーセン・コンサルティング(後のアクセンチュア)とは別に、アーサー・アンダーセンが新たなコンサルティング部門である「アーサー・アンダーセン・ビジネスコンサルティング」を設立します。

これにより、アンダーセン・コンサルティング(後のアクセンチュア)とアーサー・アンダーセンの関係は悪化。

‐1995年
アンダーセン・コンサルティングはアーサー・アンダーセンの売上を超えます。

-2000年8月
アンダーセン・コンサルティングは完全独立

エンロン事件とSOX法

-2001年6月
エンロン社の巨額不正経理・不正取引による粉飾決算が明るみに出ます。

-2001年12月
エンロン社は破綻
会計監査を担っていたアーサー・アンダーセンが担っていたが、数々の違法プロジェクトや粉飾決算に加担していたことが発覚します。
*アクセンチュアは完全独立後の出来事

この時、監査報酬2,500万ドルに対し、コンサルティング報酬が2,700万ドルをアーサー・アンダーセンが受けています。(同時期に破綻したワールドコムでも同様の事象が確認されている)

これにより、会計事務所が監査先へコンサルティングを行うことが問題視されました。

-2002年7月
上場企業会計改革および投資家保護法(通称SOX法)が制定
*サーベンス・オクスリー法の略

これにより、会計事務所が監査先にコンサルティングを行うことは明確に禁止されます。

同時に、各大手会計事務所は、コンサルティング活動を厳しく制限するSOX法への対応が求められ、グループからの売却や解体へと進みます。

会計事務所のコンサルティングファームの解体

SOX法への適応に向け、各社はコンサルティング部門の分離独立、売却や解体へと進みます。

-2000年 KPMG
コンサルティング部門を分社化し、ナスダックに上場します。
その後、解散したアーサー・アンダーセンのコンサルティング部門の受け皿となります。

-2000年 EY
フランスのSIerであったキャップジェミニにコンサルティング部門を売却します。

-2002年 PwC
コンサルティング部門を分離独立させ、IBMに売却します。

-2002年 デロイト(日本)
旧DTCは独立の道を選択し、「ブラクストン」の名称で再出発します。
その後、「アビームコンサルティング」へと改称します。

ちなみに日本以外ではデロイト トゥシュ トーマツの監査業務の独立性に抵触しない範囲でコンサルティング・サービスを提供していくことになった。(事実上の解体と言われています)

こうして、ITを中心に反映してきた会計系のファームは会計事務所と袂を分かつ結果となりました。

会計事務所のコンサルティングファームの復活

08年リーマンショック後、会計事務所は再度コンサルティング業務に注力します。かなり複雑なので概要を御紹介します。

-2009年 PwC
PwC アドバイザリーを新設し、破産したベリングを買収します。
*一部、PwCの紹介記事や動画で「IBM時代、ベリング時代、」という情報を見ますが、上記記事の時系列だとすれば理解しやすいと思います

-2009年 デロイト トーマツ コンサルティング
元々、等松・トウシュロス コンサルティングがあり、「経営コンサル部隊がトーマツ コンサルティング」と「IT部隊がデロイト トーマツ コンサルティング」に分けて2組織存在しました。

エンロン事件の流れで、「IT部隊のデロイト トーマツ コンサルティング」はアビームコンサルティングになっています。

「経営コンサル部隊のトーマツ コンサルティング」は残っており、ベリングのパブリックセクターを買収し、デロイト トーマツ コンサルティングに社名を変更します。

-2010年 EY
EYアドバイザリーを新設します。
まだ、2017年にEY アドバイザリー アンド コンサルティング(通称、EYAAC)に名称を変更します。

こうしてみると、アーサー・アンダーセンから2000年に完全独立してから、ずっと継続している企業なんですね。
また、デロイトも旧DTCはアビームになりましたが、経営コンサル部隊は事業継続をして現在に至っており、総合系ファームでこの2社の存在感が強く、規模が大きいのもわかります。

エンロン事件と会計系コンサルティングファーム まとめ

いかがでしたか。

会計系のファームは、どこも独立性に関する研修を毎年受け、提案時にも社内審査を通す等して、監査法人とコンサルティング部門の独立性担保を順守しています。

個人的には08年リーマンショク後の09年頃から、各会計事務所はコンサルティング部門を新設・注力していることです。

今回もコロナで景気見通しが立ちませんが、各ファーム共に今後の成長を見据えた取り組みを進め、リーマンショク後と同様の成長を遂げることができるのか、興味深いです。

Mckinseyが出しているレポートを纏めましたが、会計系ファームやアクセンチュアも同様にレポートを出していますので、各社レポートを比較して、今後の成長に向けた注力領域を比べるのも面白そうですね。

最後にまとめです。