コンサルティング業界

マッキンゼー レポート:コロナ危機の現況と見通しシナリオ

こんにちは。転職ノート編集部です。

コロナウイルスの大流行に伴い、各社がリモートワークを推進していましたが、東京都と埼玉・千葉・神奈川は休業要請が出ましたね。

今後の不景気を心配している方も多いのではないでしょうか。

各コンサルティングファームはコロナ後のシナリオや今後の働き方のモデルを紹介しているます。

今回は、マッキンゼーのレポートを御紹介します。

基本的には企業の役員に向けた物ですが、一部、個人のキャリアや意思決定に関係する内容があり、そこに絞って御紹介します。

今後も状況が刻々と変わり、見通しも立ちにくいですが、現時点で持つべき中長期的な目線を把握することで今後のキャリアの検討に役立ててもらいたいと思います。

レポートの種類と概要

レポートの種類

今回御紹介するMckinsey&Companyのレポートは「COVID-19 ブリーフィング・ノート」です。

2020年3月25日版と4月3日版です。

「クライアントへの特定の助言ではなく、インサイトとベストプラクティスを提供する意図で作成されています。」と記載されています。

今後の未来に関して、想定されるシナリオパターンを整理したうえで、想定される課題と対策を示しています。

各レポートの構成

各レポートでは、4つのChapterが共通しており、3月25日版の方は5つ目のChapterに先行指標ダッシュボードとして、3月25日時点での中国・欧州・南北アメリカ・南アジアの総症例数等を紹介しています。

今回は、4つのChapterから抜粋して御紹介します。

Chapter1:COVID-19の現況
Chapter2:シナリオおよび今後の方向性
Chapter3:セクター別の影響
Chapter4:COVID-19対策の計画および管理

COVID-19の現況(4月3日)

世界的な広外は加速しており、新規報告症例数に占める割合で、欧州(~52%)・米国(~38%)が大多数を占めています。

封じ込め策を各国が講じているものの、感染は拡大しています。
一方で、中国の新規感染者数は減少傾向をむかえています。

米国は、過去2週間の指数関数的な感染拡大によって、新たなCOVID-19の中心地となりました。

一方で、感染拡大が初期から広まった中国は、検査体制および対応能力を拡充する前に、急速なロックダウンを実施しました。

グラフを見る限り3月以降に感染数が、微増していますが、全体として落ち着いてきていることが分かります。

コロナ後のシナリオと見通し

シナリオの概要

COVID-19危機の経済的な影響シナリオを「ウイルスの蔓延と公衆衛生への対応」と「ノックオン効果と経済政策による対応」で9つのパターンに分類して整理しています。

そのうち縦軸が「ウイルス拡散の迅速かつ効果的な制御ができた場合」と「効果的に対応しているが(一部地域で)ウイルスが復活した場合」で、横軸が「部分的に(政策が)効果的な介入ができた場合」のA3とA1のシナリオについて詳細を紹介しています。

A3:ウイルスを抑制され、回復が遅い場合
A1:ウイルスが復活し、世界全体で緩やかに回復した場合

A1はA3より厳しいシナリオですが、A3でも「多くの国では、第2四半期に第二次大戦後には見られなかったような急激なGDP減少を経験する」という、シナリオ設定になっています。

シナリオの詳細

A3:ウイルスを抑制され、回復が遅い場合

第2四半期の半ばまで中東・欧州・米国でウイルスの感染拡大が続くとされており、ウイルスの季節性と公衆衛生対策の強化で感染症例数が減少するとしています。

多くの国では、第2四半期に第二次大戦後には見られなかったような急激なGDP減少を経験すると予想するシナリオです。

●疫学的シナリオ
中国と東アジア諸国は現在の回復状況を維持し、第2四半期初期にウイルスを抑制

欧州と米国でのウイルスは経済的閉鎖から2~3ヵ月間で効果的に抑制

公衆衛生面での対策強化とウイルスの季節性を受けて、新たな感染症例数は、4月末までにピークを迎え6月までに減少

●経済的インパクト
中国
急激だが短期間の減速を経て、危機前の活動水準に素早く回復。2020年の年間GDP成長率は、最終的にはほぼ横ばい

欧州と米国
金融と財政政策により、経済的な打撃が一部緩和
感染もある程度遅れ、力強い反発は20年第2四半期末のウイルス抑制後

A1:世界全体で緩やかな回復する場合

季節的な減少もなく、ウイルスは世界的に拡散。
多くの国で医療制度が圧倒され、特に貧困国では大規模な人的・経済的打撃が起きるとしています。

多くの国では、危機前のGDP水準に回復するまでに2年以上を要するシナリオです。

●疫学的シナリオ
中国
ウイルスの地域的な再拡大を封じ込める必要に迫られる。

欧州と米国
一つの四半期内では、ウイルスを封じ込めることはできず、夏にかけて一定の物理的距離戦略と隔離を導入

●経済的インパクト
中国
回復はより緩やかとなり、外国への輸出が減少する為に痛手を受ける。経済はかつてない縮小に直面する可能性がある。

欧州と米国
第2四半期のGDPは年換算で35~40%の下落。
欧州の多くの主要経済国の状況も同様。
経済政策では失業数や事業閉鎖の急増を防止できず、ウイルス抑制後も回復が大幅に遅れる。

第二次大戦後のGDP成長率とA3・A1のシナリオでのGDP成長率も比較されています。

セクター別の見通し

A3・A1シナリオは4月3日のレポートですが、コチラは3月25日のレポートに掲載されていたものです。

「予想される影響の度合い」を横軸に取り、航空宇宙/防衛が最も深刻で、再開は2021年Q3/Q4までかかるとされています。

続いて、航空及び旅行が2021年Q1/Q2、保険会社が2020年Q4と続きます。自動車が2020年Q3なので今年の10-12月まで再開に時間がかかるという見通しを出しています。

業界毎の事例も、今各業界で起こっている象徴的な事象が纏められおり、参考になると思います。

ちょっと文字が小さいので、いくつか抜粋します。

●航空宇宙/防衛
航空機の納品ショックは、受注残の規模毎に解消

航空機の飛行時間低下、および、運営業者の財務的制約により、アフターマーケット管理に多大な影響が生じる

納品スケジュールへの計り知れない影響と、米国における更なる完成拡大により、日本とイタリアでのF35生産が混乱

●航空および旅行
9月11日時点と比較して、5~6倍となる深刻かつ急激な需要ショック、世界130か国に波及する渡航禁止および隔離政策により短期需要が70~80%減退

パンデミックへの懸念が予約のピーク時と重なったことで、北半球における夏季の旅行繁忙期に深刻な打撃

国内旅行の回復ペース(2~3四半期)は長距離および海外旅行(6四半期~)と比較して迅速
*20年第1四半期が4-6月なので今年の7-9月、10-12月に回復する可能性があるということでしょう

●保険会社
アメリカでは保険会社、特に再保険および生命・健康保険会社に多大な影響が生じている。

金利および投資パフォーマンスの低下により、特にロングテール商品の収益に影響

書面での申請及び医学的査定への依存により新規契約および受付プロセスが混乱

厳しいシナリオもありますね。
また、各国により違いもでてくると思いますが、何も見えないよりも、活路を如何に見出すかを考えたいですね。

新たな日常のパターン

コロナによる混乱が落ち着いた後、消費者の新たな日常を変化の度合い別に、言語化しています。

左が「変化が少ない」場合で、右が「変化が大きい」場合です。

拡大版です。

●変化が少ない場合(左側)

仕事は引き続き「出社」して会社で行われ、組織構造も伝統的なピラミッド構造となり、従業員がフルタイムで働く、これまで通りの見通しになっています。

●ある程度の変化がある場合(真ん中)

リモートワークは可能だが、ほとんどの職業はまだ「対面」

一部、BU(Business Unit)はプロジェクトベースの仕事に再編される

管理職はフルタイムだが、管理職以外は「ギグ」労働者にシフト

●変化が大きい場合(右側)

リモートワークの受け入れが完了
コンサルタントを含む約25%のホワイトカラーが完全在宅勤務

組織は、プロジェクトベースになり、フルタイム社員は全体の20%程度に減り、「ギグエコノミー(≒業務委託)」の活用が進む

真ん中のシナリオは十分に考えられるのではないでしょうか。

ギグエコノミーは、「インターネットを通じて単発の仕事を受注する働き方」のことですが、近年、フリーのコンサルタントが流行っていましたが、上流から下流まで、そういう働き方が更に増えるということでしょう。

ただ、その意図は、人件費の変動費化なので、不景気の期間は仕事が激減するというのは歴史の通りです。
リーマンショクの時の出来事でも御初回していますので、興味があればご確認ください。

まとめ

いかがでしたか。

Mckinseyのレポート、複数のシナリオに基づいて、世界と日本国内の情勢が分かるとともに、変化の度合い毎に個人の次の働き方(Next Normal)が紹介されているので、興味のある方は是非、読んでみてください。

▼Mckinsey&Company COVID-19 ブリーフィングノート(4月3日版)
https://www.mckinsey.com/jp/~/media/McKinsey/Locations/Asia/Japan/Our%20Insights/COVID19/COVID-19-Facts-and-Insights-April-3-2020-McKinsey-Japanese-brief.ashx

●現況
✓4/3時点では米国・欧州が新規感染数が非常に多い

✓中国・韓国は1.5~2か月程度でいったん収束

●今後のシナリオ
✓「A3:ウイルスが抑制され、回復が遅い場合」と「A1:世界全体で緩やかな回復する場合」が詳しく紹介

✓A3は、中国は2020年の年間GDPは、最終的にほぼ横ばい、欧州と米国は20年第2四半期以降に回復見通し

✓A1は、中国がウイルスの再拡大対応におわれ経済は縮小、欧州と米国は第2四半期のGDPが年換算で35~40%下落する見通し

✓航空宇宙/防衛>航空/旅行>保険会社>石油/ガス>自動車>衣料品/高級品の順で回復が遅れる(航空宇宙/防衛が最も遅い)

●新たな日常
✓変化が少ない場合は、これまで通りのピラミッド型組織に正社員で所属し、対面で仕事する、これまで通りの働き方

✓ある程度の変化がある場合、プロジェクト型の仕事が増え、管理職は正社員だが、他はギグエコノミー(業務委託)の活用が推進

✓大きく変化する場合は、ギグエコノミーの活用が大幅に拡大し、正社員は全体の20%程度に縮小

この状況も永遠に続くわけではなく、業界や個社でも状況は変わってくると思います。

全体と個別事象をそれぞれ見ながら、皆さんがキャリアを考える一助になれば嬉しく思います。